cococaRaココピートを使っている生産者である長野県松本市の株式会社佐藤工務店 佐藤亮太さんは、約3年前からイチゴの高設栽培でココカラのココスラブ(TP1とTP2)を使用されています。
そんな佐藤さんに、ココカラのココピートを使用することとなった経緯や、ココピートの活用方法についてお話を伺いました。
夏秋イチゴの高設栽培で就農した理由

佐藤さんは、2013年に生まれ故郷である長野県で就農しました。その際に、少ない面積で営農できるという理由で施設での栽培を選択しました。また、作目を決めるにあたっては、参加したセミナーで夏秋イチゴの需要と供給についての現状を知り、ビジネスチャンスとワクワクを感じたといいます。さらに、いちごを栽培するにあたり、高設栽培か土耕栽培か考慮しましたが、身体に負担が少ないという理由で高設栽培に決めたそうです。
パーク堆肥培地からピートモスへ、苦労した5年間
就農1年目は、培地にバークを使用しましたが、価格面が折り合わず、また物理性に問題が生じたので、ピートモスにココチップと軽石が混合されている培地に変更しました。この培地は1 年目の収量は良かったのですが、4年間使用していく中で、性質が変わっていまい収量が落ちました。しかし、価格面で買い替えることができませんでした。
さらに、廃棄処理時に使用済みの培地を入れさせてもらった水田では軽石が浮き、田植え機に巻き込むというトラブルが発生してしまいました。畑にすき込んでも軽石が分解されず、処理方法にも苦労しました。
また、提供される培地ごとの品質にばらつきがあったことも、他培地への変更を考えた原因の一つです。
培地の入れ替えが重作業、従業員への負担が課題に
加えて、佐藤さんの農園では「培地の入れ替えで人間が疲れてしまう」という課題がありました。
イチゴの収穫は軽作業のため、夏季のイチゴ収穫に20名、通年で3名ほど雇用している従業員はほぼ女性です。そのため、冬季の培地の入れ替え時の重作業とのギャップで、やめてしまう方も多くいたそうです。この課題を解決するためにも、培地の変更は必須でした。
その頃、栽培面積も拡大しており、佐藤さん一人では培地の入れ替えが難しくなっていました。また、水を吸った状態のピートモス培地は重く、搬出のために発泡スチロールのプランターを持ち上げた瞬間に、バキッと壊れてしまい、その片付けに追われてしまうことまであったそうです。重い袋(40L、場合によっては200L)を担ぎ上げて培地を入れなければならないことも大変でした。
「準高冷地であり、近郊都市部には働く場所も十分あるため、辛ければやめてしまいます。技術を習得した従業員の雇用維持のために、ネックとなる重労働から彼女たちを解放しなければならないと思っています。なので、彼女たちがフルパワーで働ける資材を使いたいのです。」
そこで、佐藤さんは軽量で入れ替えが容易な圧縮培地を探し始めます。
ココピート培地のうち、「良い品質であること」という点を留意して、数々のメーカーに質問をしていました。しかし、価格メインで商品説明を受けることが多く、なかなかピンときませんでした。そんな折に、2017年の農業展示会でココカラの大原と出会います。
大原の最初の一言「これは内地で作っているんです(=培地内の塩分濃度が低いです)」に信頼を置き、ココカラココピートのテスト栽培を開始しました。
ココピートに変えたらイチゴも培地も安定

こういった経緯で、佐藤さんは3年前にココカラのココピート培地を使用されはじめました。ここからは、ココピートに変えてよかった点についてお伺いします。
ココピートとイチゴとの相性が良い
現在、佐藤さんが栽培している品種は、すずあかねとサマーリリカルです。特にすずあかねに関しては、ココピート培地との相性がいいと感じています。すずあかねは、冬になるに従って気温が下がってくると、果実の着色に時間がかかり、その分果実の大きさが大きくなります。しかし、培地の水分が過剰になると、着色する前に果実が肥大しすぎて裂果(実割れ)してしまいます。これを解決するために、植物に供給する水分量を減らします。そうすることで裂果せずに着色させることができ、気温が下がっても品質を落とさず収穫期間を延ばすことができます。ココピートは保水と排水のバランスが良い為、このような微妙な管理も可能になります。
自然環境の変化による夜間通水でも問題なし
また近年、平均気温が上昇しています。長野県でも梅雨明け後に暑い日が続くようになりました。この時期は、ちょうどイチゴのピークがひと段落し、イチゴが弱った状態です。そのため、イチゴの根を回復させなければなりませんが、夜も暑い日が多くなり、なかなか回復できない年が増えてきました。そこで、近年では昼間に熱がこもった培地を、昼間の通水の他に、夜間にも通水を行って温度を下げる技術も取り入れるようになりました。しかし、ピートモスは保水性が高すぎるので、あまり多くの水を給水してしまうと、培地内に水がたまってしまい、根が酸欠を起こすことがあります。また、使用期間が長くなるにつれて、分解されて目が細かくなり、より酸欠が起きやすくなります。一方で、ココピートは組成がしっかりしているため、洗い流すような給水をしても、空気の層が維持されるため根が酸欠を起こすことはほぼありません。
佐藤さん流、戦略的ココピート培地の使用方法
ココカラでは、基本的にはイチゴ栽培には5、6年使用でき、ダストの含有量が少ないTP2を推奨していますが、佐藤さんは毎年交換するという理由で、戦略的にTP1を使用しています。
その理由は何なのでしょうか。
夏秋イチゴの栽培特性
冬まで収穫を続ける夏秋イチゴの場合は、冬季まで収穫を続けます。そのため、ハダニなどの害虫がパイプ内に入り込み越冬する恐れがあります。そこで、リスクとコストを比較した上でリスク軽減のために毎年交換することに決めました。
TP1でもダストのムラを作らない
TP1はTP2と比較してダストが20%ほど多く含まれています。ダストが多いほど排水性は下がりますが、佐藤さんのように毎年交換しているので問題がないそうです。また、ココカラのココスラブのブロック(圧縮培地)をプランターに入れるとき、できるだけ人の手が触れないよう心がけた上で膨潤させるので、培地内に含まれるダストの場所にムラはできないと話します。ブロックではなく、袋に入っているココピートの場合は、袋の底にダストが溜まるため、圧縮培地ならではの戦略ともいえます。
ただし、イチゴ栽培において数年間ココピート培地を使用している方には、やはりTP2がおすすめです。なぜなら、2年目に再使用するときに、戻すとベッドの下部にダストがたまってしまう恐れがあるからです。
ココピートの入れ替え作業が3週間短縮
それでは、もう一つの課題であったココピートの入れ替え作業は、どのように改善されたのでしょうか?
現在、イチゴのプランターは全長6キロです。しかし、その入れ替え作業は驚くほど早く終わります。朝、板のような圧縮培地を1プランターにつき1つずつ入れる作業をパートさん1名にお願いすると、昼には250個程度完了してしまいます。その後、膨潤してかまぼこ型に整え、給液設備などの設置を行います。この作業には、人や手間を使います。
「植え替えで人間が疲れ果ててしまうと、スタートラインで遅れが生じてしまいます。大切なことではありますが、準備は準備です。ココピートにしてから、定植した植物に時間をかけられるようになりました。」
今は、2月中に植え付けが終了し、3月に少し休むことができます。4月に手入れをすることで、5月の連休も取ることができています。
「ココピートに変えたことで、片付けと植え替え作業が、3週間以上短縮できました。」
ココピートで植物にも働く人にもやさしい農場に

ココカラのココスラブに変え、佐藤さんを含め農場で働く人の負担が軽減しました。高設栽培は収穫時に身体を曲げることが少なく、作業負担が少ないという特長があります。その高設栽培に圧縮培地のココカラココピートを組み合わせることで、培地の入れ替え時にかかる負担も軽減でき、働く人にもやさしい農場づくりが実現できました。
また、長い目で見れば、安定的な雇用にも繋がります。
さらに、ココカラのココピートは排水性が良く、空気を含むココピート培地は、近年気温の上昇する中での頻回灌水や夜間通水をしても、酸欠をおこしにくく、植物にもやさしい培地だといえます。
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