ココカラココピートを使うトマトの生産者である浅小井農園株式会社では、ココピートの導入によって、トマトの品質向上だけでなく「持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として制定されたSDGs目標」の実現をしています。
今回は、浅小井農園を経営する関澤征史郎さん、取締役会長の松村務さんに、ココカラのココピートを使用しはじめた経緯や、導入後にトマトの品質や営農の変化や、SDGs目標への具体的な取り組みについて、詳しくお話を伺いました。
ココピートでトマトの養液栽培をする浅小井農園
浅小井農園は、ハウス2棟(計約8,000㎡)でトマトの養液栽培をしています。隔離ベンチ44m×80列で、黄化葉巻病抵抗性品種のミディトマト「ボレロ」を栽培し、スーパーや直売所、レストランなどに「朝恋トマト」のブランドで販売しています。また、JGAPの取得や、SDGsへの取り組みをはじめとして環境に配慮した営農を力を入れています。
根張りが不十分で生育不良に。少量土壌培地からココピート培地へ
浅小井農園では、cococaRaが開業した当初よりトマトの養液栽培でココカラのグローバッグ(TP3)を3年間継続して使用いただいています。
就農当時は滋賀県が推奨する「少量土壌培地」を使用していました。しかし、8月末に定植し、翌年7月まで収穫を続ける中で、栽培の途中から根張りが十分でなくなり、トマトがスタミナ切れのような状態に陥ってしまうような事態が起こっていました。そこで、現会長の松村さんは、約3年前にcococaRaの大原の営業をきっかけに、ココピート培地へ変更することに決めました。
ココピート培地で排水性が改善。品質向上へ
ココカラのココピートに変更してから、培地の排水性も圧倒的に良くなったそうです。
「14、15時に水を止めれば、夜間はベタベタにならずに培地内の空気率が高いです。そのため、根腐れを起こさず良い状態が保てます。また、2年目の培地でも排水性に問題がありません。」
関澤さんによると、トマトの品質に影響を与えられ要素は、「どれだけ光合成ができる環境を整えられるか」ということに集約されるそうです。光合成を高めるために、施肥設計や温度管理をします。培地に関しては、培地中の排水性を良くすることで、根腐れが改善され、結果的に作物の光合成が高まり、品質が向上します。
ココカラココピートで培土の入れ替え作業が3分1に軽減
少量土壌培地を使用していた時と比較すると、グローバッグ培地の入れ替え時間は3分の1に軽減されています。松村さんは、以前は重い土をスコップと一輪車を使って入れ替えをしていたので重労働だったといいます。また、土の場合は固くなるので、毎年機械で土をほぐす作業をしなくてはいけませんでした。しかし、この作業中に根を傷つけてしまうこともありました。培地の変更により、肉体的、精神的な負担も軽減されています。
浅小井農園は、2年に1度のペースで培地の交換を行なっています。2棟あるハウスの培地を交互に交換しているため、毎年1棟分の交換を実施しています。古い培地の持ち出しと、新しい培地の準備を3 日間かけて8、9名で行います。以前より楽になっているものの、労働力の平準化のために、今後は短期派遣で対応することも検討しています。
cococaRaの圧縮培地の設置は、はじめて対応する人であっても簡単に設置することができるため、外部に委託して労働負担を平準化するというような戦略も実現可能です。
地元サポーターと一緒に作る環境配慮型トマト

天ぷら油を再利用したバイオディーゼル燃料
浅小井農園は、SDGsに配慮した活動に積極的に取り組んでいます。その中でも、特に重油を使った暖房器に加えて廃食油を活用できる暖房器を導入し、地域資源循環サイクルの仕組みを構築しています。
「トマトを購入しているお客さんに天ぷら油を持ってきてもらいます。それを、専門業者に委託してバイオディーゼル燃料(精製してもらい、その油を使ってトマトを栽培しています。」
肥料をできるだけ循環し、周辺環境に配慮
また、日本国内では基本的に排液をハウス外へかけ捨てていますが、浅小井農園では、できる限り循環させるよう努めています。排液をそのまま戻しているため、病気の発生状況を確認しながら循環させているそうです。また、オクトクロス(銀を用いた殺菌資材で、根腐れ病に対して農薬登録されている)を使って排液の消毒もしています。
農薬を含んだ排液をそのまま捨てない
圃場が琵琶湖に近い場所に位置するため、農薬を含んだ排液をそのまま捨てず、地下浸透桝で分解させた後に外に排出するようにし、周辺環境へ配慮しています。
ココピートを使った農業が、SDGs目標達成に

関澤さんは、ココピート培地を使用すること自体が、SDGsの考え方をカバーしているといいます。具体的にはどのような点でしょうか。
インドでの雇用創出
「まずは、ココピート培地の製造にあたり、第三国であるインドの雇用創出に貢献しています。結果として、現地ワーカーの収入向上に貢献しています。SDGsの17の目標のうち、以下をカバーしています。」
(1)貧困をなくそう(2)飢餓をゼロに(8)働きがいも経済成長も
産業廃棄物の活用
「ココピートは、産業廃棄物になるココヤシを再利用して製造されています。それを農業分野で活用しています。SDGsの17の目標のうち、以下をカバーしています。」
(12)つくる責任、つかう責任、(15)陸の豊かさも守ろう
使用後の処理
「ココピートは有機培地なので、使用後に土に還ります。浅小井農園でも、使用済みココピート培地は、外に穴を掘って埋めるか、土壌改良材として活用したい近隣農家に渡して、活用しています。このことは、SDGsの17の目標のうち、以下をカバーしています。」
(12)つくる責任、つかう責任、(15)陸の豊かさも守ろう
「つまり、農園でココピートを使用すること自体がSDGs目標の7つもの実現の役に立っています。」と関澤さんはおっしゃいます。
浅小井農園では、これ以外にもSGDs目標達成のための取り組みを実施しています。詳し白公式ホームページでご覧いただけます。
ココピート培地の選択が自社のブランド戦略にも繋がる
「浅小井農園は、小売店にも「朝恋トマト」としてブランド化したミディトマトを販売しています。浅小井農園が発信したいブランドイメージは、「トマト本来の美味しさ」、そして「食べて安心、働いて安心、地球環境にも安心」なトマトです。商品への思いやブランドイメージを消費者の方に正しく理解していただくために、同農園の取り組みを生産環境からお客様のお手元に届くまでのサプライチェーン全体において、根拠を持って示す必要があります。」と語る、関澤さん。それらの一部が、JGAP認証の取得や今回ご紹介したSDGs目標達成のための取り組みです。
ココピート培地は、SDGs目標をカバーできる資材であり、自然のものから生成されている有機培土は、無機培地と比較して地球環境に優しい培土といえます。地球配慮型であるということは、地球に生きる消費者の方への配慮にも繋がり、商品に良いイメージを持っていただける一助になるでしょう。
会社名 | 浅小井農園株式会社 |
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お話をお伺いした方 | 【関澤征史郎さん】 代表取締役社長 1981年生まれ 兵庫県出身 2003年立命館大学文学部卒業 みずほ銀行で大企業・中堅中小企業担当・融資課長等を歴任後、2018年に退職し農業の道を志す。 同年、農業研修先として浅小井農園に入り創業者である松村氏と出会う。 2020年10月第三者承継により当社代表取締役社長に就任。 【松村務さん】 取締役会長 1953年近江八幡市浅小井町に生まれる 大阪工業大学土木工学科卒業 栗東市役所で建築課長、新幹線新駅設置対策課長等を歴任後、退職し浅小井農園株式会社を設立しトマト栽培を始める。 2020年取締役会長に就任 |
公式ホームページ | http://asagoi.com/ |
栽培作物 | トマト 黄化葉巻病抵抗性品種のミディトマト「ボレロ」 |
導入製品 | ココカラグローバッグ(TP3) |
規模 | ハウス2棟(計約8,000㎡) 隔離ベンチ44m×80列 |
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cococaRaは、エコで高品質なココピートによって世界中の農業生産者が安定して生産できる環境を実現し、それによって農業生産者の生活を豊かにしていくことを目指し、これからも役立つ情報発信を継続してまいります。