栃木県小山市の株式会社 ジンボ・アグリアート・モダニズムでは、2019年よりトマト栽培にココカラのグローバッグ(TP3)が使用されています。
土耕栽培から養液栽培へ、ロックウールからココカラのココピートに培地を変えるまでの経緯、そしてココピートを使い始めてみて、トマト栽培における灌水量の難しさにも直面されています。
「培地の理論的灌水量は、そもそも数字がロックウールを基準に作られていることも多いので、ココピート培地を使用した灌水量に関しては試行錯誤している状況です。」と語る神保謙太郎さんですが、トマト栽培における灌水量の良い具合に気づく「植物が水を欲しがっているサイン」を発見されるまでのストーリーについてもお伺いしています。
ネコブセンチュウに悩みトマトの土耕栽培から養液栽培へ
17年前に就農した神保さんは、ずっと土耕栽培でトマト栽培をしてきました。しかし、連作障害によりネコブセンチュウの被害に悩み、さまざまな対策を講じたものの解決策が見つかりませんでした。また、大規模な投資をする施設栽培においては、長期間収穫を続けないと利益が出ないため、土壌消毒の期間を長く確保することも難しい状況でした。
約6年前の時点では、ネコブセンチュウを抑える技術が確立していなかったこともあり、思い切って隔離培地を使った養液栽培へ転向します。
施肥がビビッドにきくロックウールから、バッファーがあるココピートへ
トマト栽培を養液栽培に切り替えた当初は、ロックウール培地を使用していました。しかし、導入当初の処分料はから2年後には2倍に値上がりしたことをきっかけに、ココピートへの変更を考え始めました。
さらに、処分料だけでなく施肥がビビッドに反映するロックウールより、ココピートの方が神保さんとの相性がよかったそうです。
「ロックウールは、少しのミスも許されないF1みたいなイメージです。うまく使いこなさればいいけど、僕にはできませんでした。ココピートの方が、バッファーがあり多少は気楽に栽培できます。」
トマトの養液栽培における灌水管理の難しさ
培地を変えたことによる収量や品質の変化については、変動要因が多岐にわたるため一概に言い切れないと神保さんは話します。
例えば、年数を重ねるごとに、養液栽培や培地に関する知識や経験が蓄積されていくので、同じ環境であってもよい栽培ができるようになります。また、収量は人的なスキル面での変化に加えて、その年の天候などの環境要因にも左右されます。
神保さんの例でいうと、土耕栽培からロックウールでの養液栽培に変更した当初は、収量は下がりましたが、秀品率が上がり、販売単価に反映したので、全体的な経営状況としては問題ありませんでした。その後、昨年ロックウールからココピート培地に変えたときは、天候不順も影響し、収量は一時的に下がってしまいました。
しかし、原因を追求していくと、神保さんは灌水量が不足していたことに気がつきました。灌水管理を改善し、収量の向上を目指しました。
神保さんから、ココピートを使った隔離培地を利用する際の灌水管理の方法と、なぜ灌水量の不足に気づけたのかについてお話を伺いました。
灌水管理システムを使用し、データで客観的に監視
神保さんは、環境制御システム「エアロビート」という統合システムを使って、ハウス内環境を管理しています。また、灌水は培地重量センサ「スラブサイト」を活用し、計測架台に乗せた培地の重量をリアルタイムに計測しながら、パソコンにグラフを表示し、灌水量を管理しています。
理論値と現実の間で試行錯誤、植物が水を欲しがっているサインを見逃さない
灌水管理に関しては、理論上は、日水分量(LUF/日最小水分重量と最大水分重量の差)を10%程度で管理すると、生殖成長を促すといわれています。神保さんも、その理論に従って管理をしていました。しかし、生殖成長は良かったのですが、なかなか収量が上がらず、尻腐れも多く発生してしまいました。
その理由を突き詰めて考えたところ、灌水量が不足しているのではないかという考えに至りました。そこで、植物の生育を観察し、「木が黒々としている」「玉が深々しい緑色」「糖度が狙っているライン以上になっている」など、神保さんが「植物が水を欲しがっているサイン」を見つけたら、システムの数値と照らし合わせながら、品質が落ちない許容できる範囲で、灌水量を増やすことを決めました。
ロックウールと同じようにココピートでもLUF10%を目指すと、水が切れにくいので、早い時間帯から給水をやめなければいけません。しかし、そうするとトマト栽培においては、水分量が減るに従いECが上がってしまうので、容易ではありません。そもそも数字がロックウールを基準に作られていることも多いので、ココピート培地を使用した灌水量に関しては試行錯誤している状況です。
ココカラのココピートは、スリットが3つ空いていて排水性がちょうどいい
「ココカラのグローバッグがよいと思ったのは、スリットが3つ空いていて、排水性がいいことですね。」
神保さんが灌水管理をする中で、ココカラのココピート培地は、排水性が“ちょうどいい”と感じました。ココピートは、排水性がよく、ロックウールよりは保水性があるので、「使いやすくて、ちょうどよい加減」だと感じているそうです。
また、ココカラ製品のよい点として、他社はスリットが1つ、もしくは自分で開けないといけないところ、ココカラ製品はスリットが3箇所空いている点をあげていただきました。スリットが多いため、多く灌水しても、水分が溜まってしまう部分がなく、しっかり排水されます。
チップが入っていなくて大丈夫なの?と思った

「サラサラで大丈夫なの?と思いました。ココピートの培地は、チップ入りのものしか見たことがなかったからです。」
実際にココカラ製品の使用を始めて2年目ですが、今ではサラサラなココピートの粒が均一な粘りにつながっていると感じているそうです。また、スリットが多いため、細かい粒であっても、培地全体に均一に水が行き渡り、腐植する箇所がないため、2作目も1作目の排水性や保水性と変わらずココピート培地を使用できています。
会社名 | 株式会社 ジンボ・アグリアート・モダニズム |
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生産地 | 栃木県小山市 |
お話をお伺いした方 | 代表取締役 最高生産管理責任者 神保謙太郎さん |
公式ホームページ | https://jin-farm.com/about-us/ |
栽培作物 | 大玉トマト、ミニトマト |
栽培時期 | 8月10日に定植から翌年7月10日まで収穫 |
栽培方法 | 養液栽培 |
導入製品 | ココカラグローバッグ(TP3) |
規模 | 3,000㎡ハウス2棟(計6,000㎡) ベッド数:65 |
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